飲食店の経営は団体競技。スタッフはチーム。若手を大切に育てよう。

新春早々こんなニュースがフランスから配信されました。

厨房でのいじめに「ノン」、声上げる仏一流シェフたち
2015年01月03日 11:00 発信地:パリ/フランス

【1月3日 AFP】

叩くなら見習い料理人ではなく、まな板を!――

フランスの一流シェフたちが、厨房での暴力やいじめに声を上げるよう料理界に呼び掛けている。

http://www.afpbb.com/articles/-/3034984(ソースAFP)

 

フランスの上級料理界で厨房でのいじめが問題化された、という記事です。

フランスの一流レストランを特集する雑誌社の会議で

先輩シェフに蹴られたり、やけどをさせられたり、調理器具で殴られたり、セクハラを受けた

などの報告があったとのこと。

あるシェフは

「しごきのような暴力を、ささいなこと」だと黙認する慣習はやめようと呼び掛け、(略)「現代の料理界には真の倫理規定が必要だ」とAFPに語った。

としています。

また別の事情通は

「料理人たちはかなり若く、厨房は「非常に男くさい場所」だと述べ「そこでは料理人たちの昇進争いがある。一番上に立つシェフたちが厨房にいない場合が増えており、二番目に立つ料理人が厨房を支配し、誰がボスなのかを見せつけようとする。男性ホルモン的な問題だ」

と現状を説明しました。

一方一流シェフたちの多くは、

「厨房での暴力は昔のほうがひどかった」

と語り

そして記事はなんとなく方向をかえて・・・

■厳しい修業を評価する声も

やけどをさせることなど、もっての外としても、ある程度は厳しい修業に耐えるべきだという声も依然として根強い。そのおかげで過酷な料理人の仕事に耐える根性が身についたという意見は、シェフたち自身からも聞こえてくる。

フランスのテレビ番組で有名なシェフ、クリスチャン・エチェベスト(Christian Etchebest)氏(45)が見習いに入ったのは15歳のときだった。「尻を蹴られたこともあったし、仔羊のあばら肉を頭に投げつけられたこともあった」というエチェベスト氏だが、そうした経験も「わたし自身のためになった。我々の仕事は非常にタフで、強い精神力が必要だからね」と肯定的だ。

そして最後はこんなコメントで締めています

24歳の若いシェフ、レミ氏も見習い時代にいじめは日常茶飯事だった。だが、暴力はしつけ的なもので、厳しい扱いを受けることで強くなれたという。ある時はガスパチョ(トマト風味の冷製スープ)に味付けをするのを忘れ、ほかの料理人たちの目前で料理長にガスパチョを頭から浴びせかけられたこともあったという。泣きながら家に帰ったこともあるというが「あの経験がなければ、僕は料理人として成長できなかった」とレミ氏は言い切った。(c)AFP/Anne-Laure MONDESERT

ふむ。

最後のコメントをまとめとすると

「ちょっとくらい我慢しろよ。これも必要な経験だろ。」

ってことみたいです。あいや、ちょっとびっくり。まるで日本の30年前を見てるようなのは気のせいなのか。

勉強不足は重々承知として言ってしまうと

海外ではこのような風潮はとっくに無くなっているのだとばかり思っていました。

私の場合、中学・高校では(今でいう)体罰はフツウのことで、卒業するころに「体罰は理由に関わらず全面的に悪」という文化に変わった、という世代です。

だから別にフレンチの厨房で激しい指導がなされても驚きはしないけど

さすがに今の20代がこれを読んだら「フランス人てなんて野蛮なんだ…」と思うかもしれないですね。

あるとき店舗で、10代後半のスタッフがあからさまにやる気のない態度で仕事をしていたので注意したところ

「大声で脅さないでください。それも立派なパワハラですよ、訴えますよ」

とやられてポカーンとしてしまったことがあります。

これは極端な例だとしても、でも今の日本はそんな空気ですね。

他はどうなんでしょう?

これを読んだ読者の方から情報を聞いてみたい気もしますね。

私などはこの記事の締め方にちょっと共感を覚えるのが正直な感想ですね。

今現在の日本の空気を吸っている身としてはちょっと懐かしかったりもします。

現場の厳しさ(それが時に行き過ぎていたとしても)がなくなって久しい日本。

すしの現場でも同じです。

国、社会、世間、職場、すべてがあまりにもユルく若者にやさしい。

料理界も同じ。

それなのに和食(世界遺産なのに!)の現場には若手が集らず、継承者の減少で先行きが不安な状態。

逆に未だにいじめがあるフレンチの厨房には若手が沢山いるという。

両者の違いの一つは「権威」の有無。

日本の和食や寿司の重鎮は多くが「金持ちで有名な人」どまり。

小野二郎氏は有名だけど「小野二郎になりたい」という人、あなたの周りにいますか?

銀座の高級店にチョコっといる程度ですね、これではすしの裾野は広がるわけもない。

フレンチの重鎮はお金もそうだけど「国民から尊敬される対象」なんですね。

「若手と一流では立場が違うのよ。キミたちも頑張って一流になりなさい」という空気が(日本と違って)まだ残っている。

日本では苦労してまで(その苦労があまり無いんだけどね今は)上り詰める対象に映らないのでしょう。

なんでそうなんだろう。

生涯年収?カネ?それだけじゃ多分ない。

問題は簡単なようで複雑?見えそうで見えない。

解決法を考え始めると仕込みの手が止まってぼーっとしちゃうのでやめときましょう。

間違いないのは、今から日本が30年前の空気に戻れるわけもないってこと。

フランス調理界も今後はゆっくりと変化していくのかも知れません。

時代時代で人の育て方が違うのなら、それに対応していくバランス感覚が必要だということです。

タイトルにある通り、飲食店は団体戦。

若手がストレスを抱えて辛抱しながら働く職場ではやはりチーム力の向上は望めない。

隣の芝をチラ見しつつも、他所はよそと割り切って自分のチームを強くしていきましょう。

 

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