寿司、刺身、笹切り、煮物すべて大事。でも人を呼べるモノは「人柄」です。

今日は少し刺激的な内容です。

前回のトピックで

「すし職人とタッグを組んで前に進もう」ということを書きました。

今日書くのは

「そうも言ってられないこともある」という、言ってみれば正反対の内容です。

 

去年(2014年)の暮れに読者の方からメッセージをいただきました。

「内の調理長は腕はいいがとにかく怒りやすい。最近は客数が減っている。それでもあまり危機感はないようで「景気が悪いのだから」とか「内だけじゃない」と言って手を打ってくれない。先日、もっと真剣にやってほしいと言ったら「部下を全員連れて辞める」と脅され(?)た。」

という内容でした。

 

私も似たようなことで苦しんだ時期がありました。

当時雇っていた職人も”意見されることが許せない”というタイプの人間でした。

本人もそのことは自覚していたけど「すし職人だからそんなもん」と意味不明の開き直り。

終いには

「俺たちにとって店の一軒や二軒潰すのはカンタンなこと」

「俺を気分よく働かせりゃいいんだよ、怒らせたら良いことないだろ(だから一々意見するな)」

なんて平然と言ってのけるありさまでした。

 

私の場合は自分が仕事を覚え、経営の勉強をしたことで立場を逆転させ

数年後には辞めてもらうことができました。

 

「二軍慣れ」という言葉があります。

プロ野球の世界で、二軍にいることが当たり前になって、いつしか本気で野球に取り組むことをしなくなってしまう状況のことです。

二軍でもそこそこ高い給料をもらえる人に多いのだそうです。

寿司職人にも「二軍慣れ」があります。

この世界に入ってある程度年数を経ると、店によっては普通に稼げてしまいます。

それ以上の世界があるし、技術以外にも例えば経営のことや人間性の部分で自己啓発していかなければならないのに、どこかで自分を一人前と認識してしまうわけです。

時間から時間まで何となく仕事していれば給料がもらえる。

こうなると人間は成長しません。

特に寿司のように専門性が強い分野では、半端な職人でも「いないと困る」なんて言われてしまうのでなおさらです。

若いうちはそれでもまだいいけど、年を取ってくると「ベテラン扱い」されるからたまったものではありません。

大したことないのにベテランすし職人の誕生になっちゃうわけです。

 

すし屋を含め商売はすべからく「お金を儲ける」ためにやります。

店を任されて利益を出す職人が偉いのであって、すしを握れて刺身の盛りつけができるとか、長くやっている、とかが偉いわけではないのです。

(そういう意味では銀座の高級店の職人が偉いワケでもないですね。)

利益を出せる、とは一意で言うなら「お客様の数を増やすことができる=リピートさせられる」ことに他ならず

その為に必要なのは「お客様に好かれる性格であること」だと知っていなければなりません。

つまるところ、誠実・謙虚・快活・正直・実直などのメンタリティ(=善なる人間性)なのです。

職場はチームですから、それを機能させるには「自己犠牲」の精神も必要です。

それなのにいまだに「まな板の技術」しか頭にない職人やその卵が多くいます。

(それがなまじ腕がいい人材だと非常にもったいなく思いますが、長年の二軍慣れでこちらの控えめな忠告は耳に入りません。)

 

精神性がないので部下を啓発することもできません。

できるのは寿司の仕込みを教えることだけ。

厳しい時代にきちんと利益を出して行きたいオーナーと話が合うはずもなく、企業体のなかで上司として機能しないので就職もできません。

 

このブログはすし職人を目指す若い人も沢山見ています。

大事なことなのでもう一度書きます。

「すし職人の価値はお客様に好かれるかどうか(=リピートさせられるか)で決まる。」

です。

「その為に一番重要なのは性格(性質)」

なのです。

ここを勘違いしなければ、オーナーの信頼を勝ち取ってしっかりとやっていけるし

自分の店を持ってもお客様に愛される素晴らしい店に成長させられるでしょう。

 

すしが握れて刺身が切れて、笹切りが上手で…という人は

修業中の若い人から見れば「凄いすし職人」に見えるものです。

その人が世捨て人のようにちゃらんぽらんだと逆にカッコよく見えてしまうかもしれません。

それを「すし職人の世界」とか「この業界」なんて勝手に思い込んでいる若い衆も

少数ながらも存在しているのでしょう。

そうやって歪んだ意味での「職人気質」が継承されていきます。

 

冒頭のオーナーの苦労は人を変えない限りつづくものと思われます。

出来うる策をすべて打って人員を刷新すべし。

が私の答えです。

 

 

 

 

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