マグロの初競り、今年も妥当な値段。あの狂騒はなんだったんだ?原因を追ってみた。

マグロの初競り、今年は451万円

2015年1月5日、築地市場では恒例のマグロの初競りでした。

ニュースで「恒例の」って言ってるのでつい使っちゃうけど、その年の最初の競りを「初競り」と言うのであって、特別な準備をしなくても正月や節分と一緒で毎年必ず来るものだから「恒例の」という言い方にはちょっと違和感を感じるけどまあいいや。

で、今年のマグロについた値段は2万5千円。

このブログは一応プロやそれを目指す人に向けて書いてあるので分かりづらい「1本いくら」とは言いません。

2万5千円はキロ当たりの競り値のこと。

魚の重さが180㎏なので1本では451万円になりました。

高いと言えば勿論高いけど、まあ妥当なところでしょう。

マグロ1本1億5000万円

マグロの競り値で強烈に印象に残ってるのはやはり一昨年の初競り。

キロ70万(1本なんと1億5000万円)という恐ろしい値がつきました。

一体マグロの値段てどうなってるんだ?ってことで

2007年以降の初競りのマグロの値段を表にしてみました。

因みにそれ以前の最高記録は2001年のキロ10万でした。

単価(円) マグロの重さ 1本価格(万円) 落札者
2001 100,000 202㎏ 2,020
2007 20,000 206㎏ 413 つきじ喜代村
2008 22,000 276㎏ 607 板前寿司
2009 75,000 128㎏ 963 板前寿司、久兵衛
2010 70,000 232㎏ 1623 板前寿司、久兵衛
2011 95,000 342㎏ 3249 板前寿司、久兵衛
2012 210,000 269㎏ 5649 つきじ喜代村
2013 700,000 222㎏ 15540 つきじ喜代村
2014 32,000 230㎏ 736 つきじ喜代村
2015 25,000 180㎏ 451 つきじ喜代村

2001年こそキロ10万円と跳ねたものの、それ以外の年では

1999年:2万

2000年:2.1万

2001年:10万

2002年:1.3万

2003年:2.8万

2004年:2.6万

2005年:2.5万

2006年:2万

と、それほど派手な動きはありませんでした。

板前寿司・久兵衛、共同購入の意味は?

2009年から2011年はつきじ喜代村と久兵衛の共同購入(落札後マグロを2社で分ける)になっています。

いきさつはこうです。

当時、香港や台湾で勢力を拡大していた板前寿司(リッキー・チェン社長)が、日本進出を前に「赤字でいい。日本でのブランド周知のために話題性のあるアクションを起こす」ことを画策していました。(板前寿司ジャパンHP

指示を受けた同社日本法人の中村社長が考えたのが「マグロの初競り入札」だったのです。ウリにする「生本まぐろ」の路線とも合致していました。

もともと資金力で上回る同社が利益を度外視すれば初競入札は難しい話ではなかったでしょう。

因みに雑誌のインタビューでリッキー氏は「すしざんまいは普段は生本鮪は使っていません。主にヨーロッパから輸入した養殖の南まぐろを使っています。ウチはずっと生の本まぐろをバカ正直に使っている。」とライバルをけん制するかのような発言をしています。

随分挑発的なことをメディアにのせる人だなぁとその時思いましたがこれも戦略の一部だったのでしょうね。

さて、莫大な資金力で初マグロを押さえる板前寿司に久兵衛側から「来年のマグロを共同購入で」との打診が入ります。

久兵衛としてみれば共同で買えば半額で済むし、余計な競り合いを避けて価格の高騰を防ぎたい狙いもあったでしょう。

板前寿司としては「あの久兵衛と同じマグロを使っている」とブランディングに使えるとの目算で両者合意。

これが共同購入への流れだったそうです。

つきじ喜代村本格参戦。意地と意地の戦いへ。

ここに喜代村の木村社長が待ったをかけます。

2013年、板前寿司・久兵衛との競り合いを制してキロ70万(1本で1億5千万円)のマグロを落札した時、つきじ喜代村の木村社長は

「ここ数年、中国の企業に日本の最高のマグロを取られてきました。初マグロを競り落とすのは私の役割、日本人の意地です」とインタビューに応えています。(同社HP)

日本人の意地とか誇りのために1億5000万のカネを、普段使わないまぐろに使うかどうかは判断が分かれるところです。

実際様々なメディアで

「マグロ1貫の単価がこうで売価がこうで入客数がなんちゃら…」

「テレビでの露出をお金に換算すると…」

なんてやってました。この時日本中で話題になった

「それでもワリに合うのか」との問いへの答えですが

同社の2013年の売上げは約30億円アップの220億円(対前年116%)

ということで勝負ありですね。

で、注目された翌年の競り値ですが

キロ3万2千円と急降下。

今年も2万5千円とほぼ通常価格(と、思ってしまうところが慣れの怖さですね。これでも1貫当り原価500円です;)

「あんな馬鹿なレースはんもうしません」

理由は簡単

板前寿司が参戦しなくなったから。

リッキー社長曰く。

「あんな馬鹿なことはもうしません。今は九州の黒豚で商売する方向で進めています」とのこと。

もう一つ

競り値の8割程度を獲得できる津軽海峡のマグロ漁師が

「そんな値がつくなら」と年末年始返上でマグロを獲りまくったため

築地へのマグロ流入が100本以上と大幅に増えたのです。

(70万の値がついた年は津軽海峡のマグロは3本だった)

なので今年は若干値崩れを起こして比較的末端の仲買まで国産の本鮪をゲットできたのだとか。

正月の特集番組を組みたいテレビの製作会社が大挙して大間港に押しかけたことの弊害もチラホラ聞いてます。

テレビが煽るからそれを利用しようとする業者がでるのか、業者が頑張るからテレビが煽るのか。

何れにしても「美味しいものを常識的な価格で」食べられるようになってほしいものです。

 

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