もっと気楽に成長しちゃえ

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先日私が教えているスタッフと話しました。

「今、とあるオーナーが、『君に店を任せるからやってみない?
席数は30。家賃15万なんだけど。』みたいな話が舞い込んで来たらやる?」

と聞いてみたのです。

この道1年半のKくんはちょっと考えてから
「まだ自信がないので・・・無理だと思います。」と答えました。

まあ1年半で寿司屋の事実上の経営者ってのは確かに難しいですよね。
彼の考えは世間的にも常識的なものだと思います。
多分、3年くらい経験がある職人でも同じように答える人は多いでしょう。
みんな一様に「まだ早いかな」と答えるわけです。

私は重ねて聞きます。

「ふーん。じゃあ何ができるようになれば引き受けるの?」
「えーっと、仕込みもまだまだですし・・・」
「何ができないの?」
「最近は結構やれるようになってきたんですけど・・・」
「じゃあどうして仕込がまだまだと思うの?他には何か自信がないものがあるの?」
「店の数字とかもよく分かってないし・・」
「数字の何がわかってないの?」
「えーっと・・・」
「美味しいお寿司、握れる?」
「いえ、まだまだです。」
「どういうところがまだまだなの?」
「えーっと形とか、柔らかさとか」
「じゃぁ形よく、柔らかく握れるようになればいいんだよね」
「えーっとでもぉ・・・」

Kくんだけではありません。
大抵の人と同じような会話になります。
別にいじめてるわけではないんですよ。考えて欲しいのです。
もっとシンプルかつ具体的に「イッチョマエ」への道を考えたらどうなのさ、と思うわけです。

一般的に一つの店を任されて利益を出していければ
まぁその人は一人前と言っていいわけです。
そのために自分に何が足りないのかが分かれば
その課題をクリアすればいいわけでしょ。

穴子の仕込が出来ないなら、穴子買ってきて練習しなよ。
築地に朝行って、穴子屋さんが穴子捌くの見に行けって。
数字が弱ければ、例えば本屋に行って、飲食店の経営に関する本を片っ端から読みなよ。
寿司を握るのが遅かったり、器量のいいすしが握れなかったら
なるべく安いお米を探してきて、家で毎日握ってみたらいいんでしょ。
自分の店で手書きのメニュー作りたいから、通信教育で書道の練習なんでものある。
実際にやってみると、アレ?っていうくらいに簡単に出来るようになったりする(←経験者)

自分で自分を成長させる、という感覚がないから、具体的な練習方法も考えられない。
足りない部分を聞かれても答えられないわけだよな。

すしはそう簡単に覚えられない。何年もかかってやっとちょっぴり前進するもの。
とか勝手に考えてませんかい?
もちょっとゲーム感覚で臨んでもいいと思うよ。
「細巻ステージクリア!次は裏巻きだ!!」とか
「くっそー、シャリ小の安定感レベルが上がらねー、隠れツールないかな」とかね。

甲子園に出たい高校野球選手が毎晩素振りをするように
ゲームをクリアしたい人がそれに熱中するように
早く一人前になりたいすし職人も熱中してください。

みんなが手ごわい、と思ってる
手先の技術と商品(素材)知識もその気になれば意外に短時間でクリアできるんじゃないの?

少し乱暴に、(大分無責任に)言っちゃうと
魚の仕込手順くらい、今時ユーチューブにだって乗ってるっての。
「お前そんな手順教えてねーぞ!」
「すみません。忘れちゃったんでネットで調べたらこうやってたんで」
ってアタシ、決して嫌いじゃないですよ、こういうの。
お!自分で研究してんじゃん、てね。(まぁ手順は直させるけどさ。)

ただね、目に見えたり数字で書けたりする部分が上手になってくると
「俺って一人前」と勘違いしちゃう人も出てきたりするんだよね。
これが次の課題になるよ。どうして決めつけるかというと
モーリーが知る限り、ほとんど全ての人が一度は通る道だから。
アタシの場合は30歳くらいだったかも。
今考えても赤面するくらい怖いもの知らずだった。

イッチョマエに人様の店を評価したり、他人の意見を聞かなかったり・・・。
「オレはこういう生き方」とかね。
これはキケン。無自覚だともっとヤバい。
場合によってはそのまま年だけ食ってダメなままベテランになって
「オレはこの道40年だ」とか威張ったりするから始末が悪いんだよね。

すし職人には結構多いです。
そう、「人間が育ってない」って現象。
昔は職人とか板前って今より地位が高かったから
それこそ大店の花板なんかだと送り迎えの車つき、な時代もあったわけ。
そういう人たちは威張ってればよかったし、それに憧れて若い人たちも一生懸命修業したんだよね。

今は違う。お客様はもちろん、同僚や後輩たちとも良好な関係を作れる人じゃないと厳しいです。飲食のように生産性の低い業態ではチームで戦うことができない人は難しいんです。
気難しいとか、お山の大将ではダメダメだよー。

そうならない為には、幸いにしてそこが分かっている先輩がいる職場なら
その人を見習いましょう。
職人は偏屈でもいい、と言い切る職人の下で働いている人は
さっさと辞めるか、それが無理なら本を読んでください。料理以外の本。

まぁ楽しめる性格・心理遊び系でもこの際いいです。
お手軽な「なんちゃら名言集」(←あまり好きでないけど)でもハタと気づかせてくれる物があるかもしれない。職場には大抵上下があるので、そういった中で頼れる後輩、手本となれる先輩、という立ち位置を勉強することです。

そうやって技術(含む知識)・数字・性格(人格なんて大仰なものでなくていい、社交的で謙虚を目指そう)をどんどん磨いて、遠慮せずにどんどん自分を前に進めてください。

決められたワークをただやってるだけじゃ、仕事はただつらいだけになっちゃうし
自分を高める喜びも得られないぞよ。