調理スタッフは料理への責任を持つべき。マニュアルだけじゃつまらないでしょ?

 

料理というものは生き物です。

いつも通り、マニュアル通り作っていても、いつも同じ仕上がりにはなりません。

”いつも同じ仕上がりとは限らない”ではなく

”毎回違う”のが料理というものです。

「今の料理、お客様が残したから味を観たら塩辛かったよ」

とマネージャーが厨房スタッフに聞くと、たまにこんな答えが返ってきます。

「マニュアル通りに作ってますけど?」

残念ながらこの店はあまり良い状態ではありません。

調理スタッフに問題があるように見えますが

おそらく店全体の問題です。

料理の味なんてその時の室温や湿度、食材の鮮度、糖度、脂分、水分の量で

驚くほど変わるものです。

塩だって湿度が高かったり塊があったりすると。

同じ「小匙1杯」でも1gくらい平気で変わります。

人間が美味しいと感じる塩度は0.8~1.2%の間。

小匙1杯は並塩で5g。

1g違うということは20%違うということ。

誤差の範囲を超えているのが分かりますね。

それでも忙しい厨房で毎回精密秤できっちり計ることは出来ないと言ってよく

結局は調理担当の口で最終チェックすることになって当たり前なのです。

冒頭の会話にはこの責任感が感じられません。

もし責任をもって仕事にあたっていたら

「すみません。自分でもそう思ったのですが、マニュアル通りだからいいと思って出してしまいました。」

とか

「すみませんでした。大丈夫だろうと油断して味見しませんでした。」

のような返事になるものです。

「言われたとおりにやってますが?」は完全に他人のせい、会社のせいですね。

先ほど私が

「店全体の問題」と言ったのは

おそらくこの店ではこのような料理の怖さや仕事に対する責任感やプライドについて教えていないのだろうな、と思ったからです。

「教えてるけどやってくれない」は言い訳でしかありません。

多くの場合、このような時の問題点は

「塩の量」

ではなく、

「仕事に対する空気感」の欠如です。

結局先輩スタッフ含め、チャランポラン。

一生懸命やってるつもりになっているだけでしょう。

社員だろうとアルバイトだろうと

「そのポジションに着いたらプライドにかけて責任を全うするのだ」という

風土を先ずつくり、それをスタッフ全員が新人に教えられるように改革しなければなりません。

勿論気持ちの問題だけでなく、

調理手順とレシピを文字できちんと明記することはマストです。

加熱時間、火の加減も文字でしっかり書き、全員で共有します。

出来るようになるまで先輩スタッフがついてしっかり教えていきましょう。

それでも

「マニュアル通りやっていればいいと言うことはない。最後はあなたの感覚が頼りなんです。毎回必ず味見をして、おかしいと思ったら自分で判断せずに先輩スタッフに必ず相談してください。自信のない料理を決してお客様に出してはいけません。」

と、繰り返し語りかけてください。

嫌というほど言い聞かせることで責任者の気迫がスタッフに伝わるのです。

出来のいい先輩は、最後のフレーズに特に力を込めて言います。

教育力がある、とはたとえばこういうことを言います。

 

1、2度言ってやってくれないからと言って

新人のせいにするのは、それこそ先輩スタッフの責任感の欠如といっていいでしょう。

教わったスタッフが次のスタッフに同じように接し始めたら

それがこの店のよき伝統となっていくのです。