寿司店経営|街のすし屋に明日はある!-6- 魚の扱いの基本

寿司店を利用したり、実際に板前さんの仕事を見ていて

「ん?」と思うことがありますのでザッとですが確認してみましょう。

寿司店経営|街のすし屋に明日はある!-6- 魚の扱いの基本

前回の記事では「仕入れの量を調整して鮮度落ちする前に使い切ろう」ということを書きました。

今回は鮮度落ちのもう一つの要素

「魚の扱い」についてです。

正確には鮮度と質は必ずしもイコールではないけどお客様が口にして

「なんか、美味しくない」

と感じると言う意味では一緒なので、ここでも一緒として扱います。

◆おろすときにまな板がビショビショ

コレ、板前さんでも意外に多いです。粗おろしの時はいいんですよ、でも粗おろしが終わったら、魚とまな板の水分をきちんとふき取りましょう。

魚の生臭成分(トリチルアミン)は水にとても溶けやすいんです。

コハダやサバを〆るとき必ずザルを使うのも、魚から出てきた水分が落ちるようにしているわけですね。

濡れたまな板で魚をおろすと、おろした身に生臭成分が入り込んでしまうわけです。

◆ずっと出しっぱなし

「魚の温度を上げてはいけない」ハズなのに、これも結構放置プレーが起きやすいです。

温度が上がると魚の自己分解スピードが増します。

細菌の活動が活発になるのでトリチルアミンの発生も増える。

いいことは何もありません。

箱モノを買った場合特に神経質になっておかないとどんどん進みます。

箱モノはすでに死後硬直した状態のものが多く、旨みはその時点でピークと考えるべきです。

その後旨みは減少するのみ、腐敗へ向かって自己分解が進行するだけです。

温度を低く保つことで進行を少しでも遅らせるべきなのに

買ってきた魚を全てシンクに取り出し、氷と箱はさっさと片付けてしまう板前さんもいます。

何を考えているかというと何も考えていません。

一つの仕込みをしているときシンクの魚の温度は上昇する一方なのです。

 

「これ、大丈夫?」と聞くと

「ずっとこれでやってきてっから」

「俺の親方がこうやってやってたから」

のお返事です。

いや、笑いごとではないんです。

自分を一人前と自己評価した瞬間、些細なことでも

人に言われるのが気に食わなくなるのが人間なのです。

魚の保存法はこれからも新しい知識や技術が生まれるでしょう。

何歳になっても勉強し続ける姿勢を保っておきたいものです。

話がそれました。

この場合、仕込む瞬間まで発砲箱のまま氷漬けが正解です。

厨房に発砲を入れさせるべきではない(保健所はそう言います)のであれば

別の箱を用意して氷ごと魚を移し替え、仕込みまで氷温を保ってください。

置き場所がないからと言ってすべての魚を取りだしてしまわないことです。

どうしても場所がなかったら新しいビニール袋に入れて冷蔵庫に入れ替えてください。

ただ、未処理の魚を厨房の冷蔵庫に入れるときは、くれぐれも他の食品に触れないように注意してください。

食中毒菌の話になるのでこの件はまた別で上げます。

◆ペーパー巻きすぎ症候群 冷蔵編

これも多いです。

巻くことで自分が安心しているのではないかと思うくらい取りあえず何でもペーパーでくるむひと。

魚から出る水分は生臭さの素なので、これを吸い取るためにペーパーは必要です。

夜帰るときにネタケースから戻した魚をペーパーでくるむことが多いと思います。

ですが、すでに水分が出きった魚をリードのようなペーパーでくるんでも効果はありません。

むしろ表面の水分を吸い取り過ぎて乾燥状態にしてしまいます。

乾燥すると表面積が増えるので酸化が早くなるのです。

それに

ペーパーの過度な使用は魚にコートを着せて冷蔵庫に入れるようなものです。

空気を含んでいるので酸化を助けてしまう働きもします。

冷えないわ酸化は進めるわでいいことなしなのです。

水が出切った魚にはラップを密着させるか

固くしぼった布巾+ラップなどの方がいい状態を保てます。

消耗品費もバカになりません。

ペーパーは魚の状態を見極めながら使うべきです。

◆ペーパー巻きすぎ症候群 冷凍編

魚を冷凍にするときにもペーパーでグルグル巻きにしている板前さんを見ますがこれも実は×。

急速冷凍という言葉からも分かる通り

魚などを凍らせるときはジワジワやるのが一番ダメ

氷の結晶が成長して細胞が壊れる温度帯(-1~-5℃)をさっさと通過させたいワケです。

コートを着せてたらわざわざ凍らせるのを遅らせるようなもの。

魚を凍らせるときは

熱伝導のいいアルミのバットに並べてそのまま冷凍庫に入れます。

凍りついて剥がれない可能性があるものはビニール袋を切り開いて敷いておくといいでしょう。

庫内の冷気に直に触れさせたいのでラップもしません。

とにかく少しでも早く凍りつくように仕向けるわけです。

ただ、このままにしておくと冷凍による酸化が始まるので

凍ったらさっさと取り出して厚めのビニール袋に入れ

なるべく空気を抜いて密封し、再度ストッカーに入れておきます。

冷凍庫の温度はなるべく低い方がいいです。

ペーパーの出番はむしろ解凍時。ドリップをしっかり吸わせてください。

とかく使い過ぎになりがちなキッチンペーパー

積もれば結構な無駄遣いにも発展しますので気をつけたいものです。

※冷凍庫と食品冷凍については次の記事で上げてあります。

◆冷凍ものの再冷凍はしない

これは見た目ではなく味の方です。

イカやタコ、エビなどを冷凍物を使っている店は多いでしょう。

冷凍のスルメを箱で仕入れ、全解凍して仕込み、ゲソと身に分けて再凍結するのは

味が抜けすぎるのでお勧めできません。

こうしておけばいざと言うときにサッと解凍できるので便利は便利ですが

見た目は変わらなくても味はまったくなくなってしまいます。

もしこれをやるなら生のイカを買ってきてやりましょう。

スルメイカの刺し身はスーパーなどで手軽に買えるので誰でもその美味しさは知っています。

わざわざ高いお金を出して食べてみたら

「家で食べたものの方が美味しかった」ではシャレにならないです。

現場の効率を求めるのは大いにやるべきですが、度を超して目的を見失うとこういう結果になります。

冷凍のイカを仕入れたらそのまま凍らせておき、

使うときに解凍、仕込みをするのがいいでしょう。

◆鮮度(旨み)を見極める

魚の旨みは

①死後硬直前…無味に近い

②死後硬直…旨みが出てくる

③死後硬直納まる…旨みのピーク(身はゆるんでくる)

④その後…旨みが徐々に消失(味がなくなる)

⑤その後…嫌な味が出てくる

⑥その後…嫌な臭いが出てくる(ヌルッとした手触り)

のように変化します。

①から⑥へ、魚種によって時間のかかり具合は変わりますがこの経路は皆同じです。

因みに足が速い魚は

タラ・サバ・カツオ・いわしなど

比較的③の期間が長いのは

平目・カレイ・天タイなどです。

③から④への変化をいち早く察し、または④に行く前に手を打てるのが腕のいい板前の条件です。

⑤や⑥になってから気付いても実は意味がありません。

その状態の魚は捨てるしかないからです。

意味があるとしたら、それをお客様に出す前に気付いたことくらいですが

プロであればそうなる前にカネに変える嗅覚が必要です。

 

今日は「魚の扱いの基本」として

間違いがちな作法を取り上げました。

日常で何気なくやっていることが実はあまり意味がなかったり

逆に魚に悪い影響を及ぼしてしまっていないか、もう一度チェックしてみるといいかもしれません。

では。

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