寿司店経営|街のすし屋に明日はある!-9-

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超低温ストッカーを導入して素材を効率的に仕込む方法をお伝えしています。

これは前回の続き記事です。

◆マグロのすき身(引っ掻き)

メジマグロをドンと入れたときなど、けっこうな量のすき身が取れます。骨の間や皮目、カマにある身をスプーンですき取った身です。脂が多いので酸化しやすく、扱い辛いけど人気がある素材です。冷凍するときは新品のビニール袋に入れ「なるべく薄く伸ばします」こうすることで素早く凍ってくれますし、解凍も早いです。

◆マグロ

生のマグロも休み前などにタタいて売っていることがあります。30㎏前後の本まぐろなどキロ2500円で買えることもあります。超低温のストッカーがなければとても手が出るものではありません。買ってきたマグロは生のままでは使い切れませんのでこれも冷凍保存です。コツは、

  • 普段よりもサクを薄くすること
  • アルミバットに並べて片っ端から凍らせること
  • ラップをしないで凍結させること
  • 凍ったらすぐにビニール袋に入れること

です。

超低温であれば、20分もあればカチンカチンになります。間違ってもペーパーで巻いて凍らせないでください。

ペーパーの出番は解凍時です。が、きちんと作業すれば殆どドリップは出ません。

冷凍に時間をかけると細胞内の水分が結晶として成長しすぎ、細胞膜を破ってしまうのです。氷の結晶が育つ前に完全凍結させれば、ドリップを最小限に押さえ込むことができます。(結晶が育つのは-1℃~-5℃の間です)ペーパーで撒くのはマグロにコートを着せているようなものです。理に反しているのです。

【海老】

車海老(上がりマキ)も「もってってよ」の常連さんです。上がって間もないマキは腰も抜けていなくて値段も安く狙い目です。凍らせるときは仕込をしてからです。茹でで開き、やはりアルミのバットに並べます。凍ったら霧吹きでまんべんなく水をかけます。超低温のストッカーで凍ったエビですから、霧吹きの水はあっという間に凍りの膜になります。この膜がえびの乾燥を防いでくれます。しっかり氷の幕を作ってからストックしてください。解凍後のマキはしっとりと茹でたてのようです。

【イカ・タコ】

イカは買ってきたら仕込んでそのまま冷凍です。

ゲソはゲソ、身は身で、一回に解凍する分だけ小分けにしておきます。この時、イカは丸めず、伸ばした状態でラップで挟むように密封します。丸めると凍結にも解凍にも時間がかかるのでNGです。ゲソも同様、広げてから凍結です。どちらも凍ったらビニール袋にカラカラと放り込んでなるべく空気を抜いて冷凍保存します。ビニールの口をきつく縛ると凍ってから開けるのに一苦労ですので配慮が必要です(後述)

タコは活けダコの場合、ヌメリを取ったら足を全て切り離し、その日に刺身で使う分を除いて全て凍らせてしまいます。使うときは茹でて使うのですが、一回凍らせているので柔らかく煮上がります。桜煮(柔らか煮)にするときもこのタコを使うと大根で叩く手間が省けます。

イカやタコは細胞が強く、冷凍にも負けないのでさほど気にしないで冷凍しておけます。型が大きいときは足一本だと使い切らないことがあるので、一本の足を二つに割ってから冷凍します。超低温のストッカーなのでタコなら2か月保存してもビクともしません。せっかく長く保存できるのですから、無駄を出さないようにするのです。

【穴子】

穴子も仕込みをしてから冷凍保存です。非常に手数の多い仕込なので他の仕込みがないときに10㎏程度仕込んで保存しておきます。高い食材なのと、これで店を評価する人も多いので「良いモノを仕入れる、2日で売り切る量だけ解凍する」を厳格に守ります。凍らせるときはビニール袋を開いてシート状にしておき、アルミのバットに穴子を並べその上にシート、またその上に穴子、と3談程度重ねていき冷凍庫へ。凍ったらビニール袋に移し替えておきます。水はかけません。

【かんぴょう・おぼろ】

仕事が多い個人店がライバルと差別化できる重要アイテムが干瓢です。国産の高い干瓢を使っても自分で煮ればたかが知れています。私は干瓢を煮るときはクッタクタになるまで煮ていました。もう長い姿は煮崩れてしまうまでです。巻いたときにフワッとして美味しいですし、他店にない口当たりと「アマがしみったれない」江戸前の味付けを表現するのに合っていたからです。そして注文が入ってタイミングが合うと、その干瓢の説明をお客様にしていました。

おっと冷凍の話でした。

少量であろうと大量であろうと仕込時間は変わりません。それに少しずつ仕込むとどうしても残りの干瓢が黄ばんできます。

これも「沢山作って小分けで冷凍」で決まりです。

オボロも同じですね。よくオボロと桜デンブを混同している人がいますが、オボロは基本的に海老で作ります。桜デンブはタラなどですが、出来合いの弁当などに入ってるものは何でできてるんでしょうね…。あんなもん作るから「オボロ抜き」なんて人が出てくるんですね、いい迷惑です。

修業してた頃は細マキ(サイマキ)と芝エビで作ってましたが、私はさすがにBT(ブラックタイガー)に代えました。それでも海老の味がしっかりする旨いオボロでした。

おっと、冷凍の話ですね。

こればっかりは量が増えると作業もキツイけど、それでも大量に作って冷凍の方が毎回作るより数倍楽です。

【イクラ】

シーズンになると筋子の値が下がります。これも百均でタッパーを沢山買ってきて数か月分を冷凍しておきます。頑張って1年分やりたかったのですがスペースがさすがに足りませんでした。

【それ以外にも】

カツオ、フグの唐揚げ用の部位、サーモンなどは超低温に、揚げ物用の小鯵や小エビ、鰹節、出し昆布などは通常のストッカー(-25°)にいれて保存していました。

◆超低温だから可能

ダラダラと書いてきましたが、どれも-60℃だからできることです。マグロなど通常のストッカーで凍らせたらせっかくの生まぐろが味のしないまぐろになって解凍されます。ドリップで出てしまうからです。

商品で勝負の個人店が味で負けてはいけません。

因みに冷凍マグロよりも、生まぐろを冷凍したものの方が私は味がいいと感じています。

冷凍マグロは船上でほぼ生きたままの状態で凍結されます。その点生まぐろは〆てから氷漬けにして築地に入ってきます。最低でも1日以上は経過私営るわけです。この間魚は死後硬直し、そのご徐々にアミノ酸が生まれて旨みを生成します。この時間的な差が旨みの差です。冷凍マグロも解凍後2~3日置けば旨みが出てくると思われますが、残念ながらそのころには色が変わってきてしまいます。なので軍配は生を自家凍結したマグロに上がります。

◆庫内の整理と取り出しやすさが大事

当たり前ですが超低温は長くいじっているとヤケドをします。

そして商品の状態を良好に保つために庫内温度の上昇をなるべく抑えたいです。

開けたら目当てのものがすぐに見つかり、袋に入っているものはサッととり出せてまたすぐに仕舞える。ここがとても重要です。

段ボールなどで仕切りを作り、庫内の地図を書いておくなど管理をしっかりしてください。

ビニール袋の口を輪ゴムでガチガチに巻く人がいますが、素材の出し入れに時間をかけたくないので縛るのは禁止です。超低温であればそれほど強い乾燥はしません(これも心強い限りです)サッと丸めて輪ゴムをかけておけば十分です。

 

◆パートさんをガンガン導入しよう

仕込んだあとの素材をストッカーに移すときは自分がやってはいけません。この作業に限らず、パートさんでもできることはガンガン振りましょう。やり方をしっかり教えておきさえすれば誰でもできる仕事です。自分がやるのは包丁を使う仕事とお客様に直接提供する商品くらいにしておきましょう。こうすることで仕込み作業が半減します。

 

超低温ストッカーのお陰で日々の仕込みを大幅に縮小できることがお分かり頂けたと思います。

が、くれぐれも通常のストッカーで同じことをしないでください。

何度も何度も何度も言いますがお客様は「旨くねーなぁ」と思っても何も言いません。黙って来なくなるだけです。

個人店は旨くない物を売ってはいけないのです。

 

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