寿司店経営|街の寿司屋に明日はある-15- 手を抜けるところを積極的にさがそう

手を抜けるところは徹底的に抜く

誰にも叱られないから楽をしよう、といっているのではありません。

要求はその真逆で

「もっと沢山の仕事量をこなすにはどうすればいいかを考える」

です。

例えば鯛のカシラを煮とき、基本は

  1. 鍋にお湯を沸かしておく
  2. 別の鍋に水、日本酒、砂糖、生姜を入れてに火かける
  3. 魚の表面に薄く塩をあてる
  4. 10分したらサッと塩を洗い流す
  5. 沸騰したお湯に魚を入れ色が変わったら冷水にとる
  6. 血合いやウロコなどを掃除して洗い流す
  7. 沸騰した煮汁に魚を入れる
  8. 7割程度火が通ったら醤油を2~3回に分けて入れる
  9. 煮汁が少なくなってきたらお玉で回しかけながら煮る
  10. 仕上にみりんを入れ、生姜のおろし汁をかける

これだけの行程があります。ごぼうなどと一緒に煮るときはさらに工数が増えますし、木の芽を天盛りにするなら煮る前にしなびていないかのチェックが必要です。美味しく作るためにどれも手を抜いてはいけないし、抜きたくない気持ちになるものです。

街の寿司屋は基本的に店で発生するすべてのことを自分でやります。料理を作って寿司をにぎる他に、それこそ膨大な量の仕事があります。

誤解もありましょうが堂々と言わせてもらいます。

手を抜くなら料理しかありません。

恐ろしい発言ですが店を守りたいなら事実です。

料理以外の仕事つまり

掃除、チラシやメニュー用の撮影、各種業者との打ち合わせ、競合店の観察、次のプランの準備、求人活動、スタッフの教育、給与計算、こまごました買い物など

他にもありますが、どれも手を抜きようがないのです。

多くの寿司店経営者が魚と料理に専心するあまり、集客や年次企画などのイベントに手をつけられないでいます。

今は2月ですが本来は卒業入学などへの準備や、頭の中ではゴールデンウィークの企画も進んでいなくてはなりません。企画が立って販促物を用意するのに2週間から1ヵ月かかります。

煮魚を作るのに自分がガス台から離れられないようでは苦しいわけです。

プロならどの部分なら手抜きしても美味しく仕上げられるかを探り当ててください。

上の煮魚なら例えば

魚の生臭みを取る湯ぶりとウロコなどの掃除は外せないでしょう。

これはきちんとやった上で

すべての材料をジプロックに入れて沸騰した鍋で湯銭調理したらどうでしょう。

煮崩れも防げるし、鍋を洗う手間も殆ど無くなります。

完成したら袋のまま冷まして冷蔵庫に入れれば日持ちもしそうです。

  • 煮汁が蒸発しないので味加減に注意が必要(水っぽくないか)
  • 料理酒や味醂のアルコールを予め飛ばしておく必要がありそう

など、研究の必要はありそうですが、一旦作り上げて文章に起こしてしまえばアルバイトでも仕込みができそうですね。

これを手抜きと考えるのではなく、こうやって自分の手をあけることで、集客など重要な仕事に集中できる、と考えてもらいたいのです。煮魚に全力を傾けず、その時間をつかってお客様にハガキを書くほうが直接的に売り上げに結び付きます。

例えば複数の魚をおろすなら、粗おろしは全部同時にやってしまえばまな板を洗う手間は1/3になります。

玉子焼きの鍋をテフロンに代えることができれば、鍋に油をなじませたり焼き終わった後の処理も格段に減ります。

布巾を使い捨てにできれば閉店後の布巾洗いの時間と消毒不完全の不安から解放されます。

こういったことをいつも考え、実現するには「何を」「どうすればいいか」をひねり出してください。

ここが職人と経営者の頭の中の違いであり

高騰する人件費や材料費に対応するために不可欠な考え方です。

自分事で恐縮ですが私の店では玉子のつまみを580円で提供していました。

小型(12~13㎝角くらい)で質のいいテフロン鍋を用意し、注文があったら作っておいた卵液を焼くだけ。カセットコンロでお客様の目の前で焼きます。テフロンですからいきなり焼き始めてもくっつきません。注文を受けてから完成まで1分ほどでできますし、目の前で焼いているので他のお客様も楽しんで見てくれます。当時で原価率7%。殆どすべてのお客様が注文する人気商品でした。「玉子焼きは銅なべに限る」なんて言ってたら出来なかった商品です。

その後フライパンの表面加工技術はもっと進歩しています。

考え方は

「商品とサービスの質を落とさず(または気づかれず)限界まで効率化する」

です。

やってみてください、楽しいですよ。