すし店経営|街のすし屋に明日はある!-2- 取り敢えず負けない商品象をつかむ

「取り敢えずよそに引けをとらないセット商品をつかもう」

その2「商品の自己採点は5割増しになる」

前回の記事では店をすっきりときれいにすることをお願いしました。

最初に商品をもってこなかったのは、職人(経営者)は商品の価値をありのままに見られない性質を持っているからです。

その理由は

「作る過程を知っていると思い入れが生まれ、実際より高く評価する心理が働くから」

です。

人材が豊富なチェーン店などの場合、現場スタッフの査定は、その人を教育した人ではなく、普段一緒にいない人間が行うべき、としています。

これも

「その人がどれくらい頑張って成長してきたか、などの過程を知っていると、今ありのままを正しく評価できないから」

です。

思い入れですね。

料理・商品も同じです。

こんな材料を使って、こんなに手間ひまかけて、(この俺様が)にぎったすし!!という思い入れがあるとお客様が感じる評価よりかなり高く評価してしまうものなのです。

実はこの感覚、誰にも指摘されずに何年もたつと料理以外の評価に伝染するから注意が必要です。

即ち

「店が汚い、がすしは旨い。」

「値段が高い、がすしは旨い。」

「愛想がない、がすしは旨い。」

これです。

症状がダブルで入り込んでるのがわかりますか?

そもそも「すしは旨い」という妄想。

「これだけすしのレベルが高いのだから他は少々ダメでも許してもらえる」という妄想。

多くの場合、お客様からの評価はこうです。

「店が汚い。すしも別にふつう。」

頑張ってるつもりなのにお客様が減ってしまう理由の一つがここにあります。

あなたのセルフチェックとお客様のチェックの温度差にあなたが気付いてないことです。

あなたが知っている「食材の産地」や「仕込の技術」や「あなたの経歴」や「どれくらい頑張っているか」という情報は、多くの場合お客様からの評価に反映されないのです。

基本構造はもっとシンプルなのです。

何度も書くことになるでしょう。

あなたが先ず評価を得なければならないのは、北小路魯山人ではなく、一般の平均的なお客様たちです。

「店がきれいで、料理が美味しくて、接客がよくて、価格が安い(妥当性がある)」

かどうかであり、これらの

    バランスがきちんと保たれていること

が大切です。

ところが多くのすし職人が店を持つとこうなります。

「素材は天然で、産地と旬にこだわっていて、プレミアムな日本酒があって、器がすごくて、握り加減が絶妙で、インテリアのセンスが良くて…」

若い方で将来持ちたい店のイメージをこんな風に設定している人も多いことでしょう。

間違ってはいませんし、他店との差別化(別の記事で掲載します)のためにも重要です。

しかしそれは商売の本質を踏まえた上にあるべきものです。

まず基本があり、その上に上乗せするべき価値なのです。

迷宮に迷い込んだら基本に戻らなければなりません。


 

商品についてでした。

すし屋の商品も多種多様ですが、ここでは「1人前のお決まり」を先ずは決めます。

多くのお客様がここを起点にお得意様になっていくからです。

まず、次の2つを実践してください。

作業

①あなたの店の近所であなたの店よりもお客様が入っている店に(出来れば3軒程度)まわり、1人前のお決まりを食べてくる。

②近場の回転寿司を見つけ、できれば2軒回って食べてくる。

です。

①に関しては接待向けの店は外してください。今お客様が減っている店がここを参考にするとまずアウトです。

①②いずれもその店のピークタイムに行ってほしいけど、無理ならいつでもいいです。

(自分の店を留守にすることになるでしょう。あらゆる手段を使って留守にしてください。1日や2日臨時休業にしてもいいし、営業時間を短縮してでも実践してください。)

・全ての店で商品の価格を記録し、写真を撮ってください。

・肯定的な気持ちで食べてください。

・もし味に関して特徴的なことを感じたら、それはメモしておいてください。

・どのような顧客が利用しているか大まかに掴んでください(ピークタイムに行っていただきたいのはこのためでもあります)

「うちの方が旨いな」とか「この値段じゃどうせいいネタ使ってないだろ」のような否定的な感情は捨ててください。

「大手だからこんなに安くできるんだろ、うちじゃムリ、参考にならん」も否定的ですね、ダメです。

天然か養殖か、国産か輸入か、一切分からず、興味もない、ただすしが食べられてうれしい、という人になりきり、ただ目から入る印象だけ感じてください。

自分で店をやっている人が、よその店に行ってついやってしまうのは

「無意識のうちに自分の方が優れているところを探してしまうこと」です。

あなたが行ったのは自分の店よりも繁盛している店でした。

負けたくないという感情でフィルターされると正しい情報が入って来なくなるものです。


 

さて

何軒か回ったことで、あなたの中にイメージが残ると思います。

「あんなインチキなすしを喜んで食べるなんて世の中どうかしてるよ」

なんて思ってませんか?ダメですよ変わらないと。

お客様はその店を選択しているのです。

あなたが週末に家族ですしを食べようと思ったらどの店に行きますか?

すしのプロとして考えてはだめです。お客になりきって選んでください。

決まったらその店の商品の写真を出します。

先ずは写真を見て全く同じ内容で1人前作ってください。

ネタの重さ、シャリの量はプロのあなたなら大体掴めているはず。

再現してください。

出来ましたか?出来たら今度はあなたの店の仕入れ価格でその商品の原価率を出します。

売値はあなたが食べた価格と同じにしてください。

原価の出し方は大丈夫ですか?必要な情報は

「仕入れ単価(キロいくら)」と

「歩留り」です。

詳しくはこちらの記事をどうぞ

「魚の原価に関する公式あれこれ」

色んな魚の歩留りメモ

さていかがでしたか?出た原価率については次回検証しますのでメモをとっておいてください。

あなたの商圏のお客様は目の前にあるその商品と価格に合格サインを出している、と今は判断してください。納得いこうが行くまいがそれが現実です。

繁華街ではない、街の飲食店の集客範囲は大抵の場合、店舗から半径1㎞程度です。

店舗が繁盛するにはその圏内に住んでいるか働いている顧客層に受け入れてもらうことが大前提です。

今回は、あなたの商圏のお客様が、どんなお寿司に合格を出しているのかを調べに行き、同じ商品を自分の店で再現してみました。

「うちのネタでやったら採算が合わない」とか、逆に

「こんな陳腐なすし、恥ずかしくて出せない」と思ったかもしれません。

「全く同じような内容でうちもやってるよ」もきっとあるでしょう。

色々な相違点があり、それぞれに自分の店で出来る出来ない、の判断が生まれたことでしょう。

ポイントはあちらは売れててこちらは売れてない、という現実です。

実際にはお店の照明や広さやコンセプト、勿論立地条件など商品以外の要因が多様に絡むのがお客様の評価です。よそのお店に行く非常に大きなメリットはこのへんの「商品以外の空気感のようなもの」を感じることにもあります。

でも今回は「商品だけ」にライトを当てて考えました。

このように一つ一つを分解して、真っ直ぐに見てみることがとても重要です。

この作業を自分の店にどう落とし込むのかは次回

街のすし屋に明日はあるー3ー

「商品開発とロジックツリー」で考えてみましょう。

では。

 

街のすし屋に明日はある!-1-

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