寿司店経営|街の寿司屋に明日はある!-14- お客様との信頼関係を築く①

カウンター越しにお客様との信頼関係を築く

文字にすると当たり前すぎて新鮮味がないのですが、ここを強く意識して商売している職人に会う確率は恐ろしく低いです。中にはまるで来てほしくなかったかのような言い方をする職人もいます。

初めての店に入るときは誰でも多少緊張するものです。

言ってみればそこを乗り越えて来店しているわけです。少し前にも書きましたが、寿司職人は気難しい人間が多く、面倒くさいと思われています。評価を逆転するには普通の第一印象では苦しいわけです。

そこへ持ってきてやる気があるのかないのか分からない挨拶をされると、その場で回れ右をして帰りたくなります。

回れ右をして帰らないのはお客様の方が大人だからです。

いいですか、あなたの(気付くまでは「私も」でした)フツウは、お客様から見たらマイナス、です。

これ多くの一般的なお客様の本音ですからくれぐれも忘れないでください。

 

経験上、やはり売れている店、一流とされている店は、ここがしっかりしていることが多いです。

「ここ」とはお客様をお客様としてきちんと接客する、という心の部分を言っています。

逆に、店前の掃除が不十分な、見た目から残念な店は、やはり入ってみても残念なことが殆どなのです。

「中間価格帯の店が不況なのは、世の中の構造変化だけが理由ではない」

と私が言うのはこの辺りに根拠の一つをおいています。

「いらっしゃいませ」をきちんと言えているか

「言えているか」と題していますが

「言えてない店の方が多いですねぇ」と私は思っています。

職人の商売に対する姿勢の殆どすべてがここに現れます。

裏の厨房で料理を作る業態の方など、お客様と接することがないのなら、百歩譲りましょう。

そんな店では、ホール長のレベルの方が、料理人と同じかそれ以上に重視されます。

でも寿司屋(特に小規模の街の寿司屋)は「職人=店そのもの」です。

無口でぶっきらぼうな職人肌の夫と出来のいい女将さん、って古典落語の世界です。

現代の男女観でそこに期待するのは甘え過ぎというものです。

職人がどう評価されるかで再来店するお客様の数が大きく変化するのが寿司屋なのです。

そんな職人の第一印象を決めるのが「いらっしゃいませ」の挨拶です。

これが「フツウ」なんてダメすぎでしょ。

自覚がある方はお金払ってでも第一印象を良くする勉強をすべきだとさえ思います。

「いらっしゃいませ」がしっかり言えないのにはいくつかの理由があります。

  1. ついつい緊張の糸がゆるんでしまう
  2. 忙しくて舞い上がっていて来店客に気がまわらなかった
  3. 出前などで忙しいときに来店されたのでイラッときた
  4. そもそもそういう挨拶しかしない(職人はそんなもんだと思っている)
  5. 人生に疲れ果ててどうでもいい

寿司屋以外の人が見たら冗談かもと思うでしょう。

でも心当たりがある方は多いはずです。

心のどこかで売りたくないと思っている

①~③が当てはまる方です。

毎日決まった客数、それも客席数の7割くらいの入りで、高単価の注文が多く、こちらの作りやすいペースで入り、お客様は皆笑顔で、美味しい旨いと食べてくれる。

そんな商売ならだれでも気持ちの良い挨拶や接客ができるのです。

商品だって安定するでしょう。

でも現状で打開策のヒントを探している方の店で、そんな風に毎日安定的に売れるなんてないことです。

売れるときは重なって売れ、暇なときは恐ろしくヒマ。

「少しは分散してくれればいいのに…」ってところです。

でもそれが(売上げが最大化するまでは)普通のことです。

人間はとてもとても弱い生き物なので、強く思っていないとついつい気持ちがゆるんで「本音」が顔をもたげてしまいます。

「稼ぎたいけどシンドいのは嫌。忙しくても気持ちよくやらせてほしい」

という本音です。

つまるところ「売りたくない」のです。

長く続けていればいるほど、人数が少なければ少ないほど、これが強く早く現れます。

誰からも注意を受けないオーナーであればなおさらです。

恥ずかしいことではありません。

「そんなやつ商売人の風上にもおけねぇ」

って言う人がいそうですがその人だって

神経を使って働くよりも家でネコと遊んでる方が好きに決まってるでしょ。

ルール化することで改善できます。

もしあなたがたった一人で商売をしているのでなければ

自制心でコントロールできないものはルールにしてしまいましょう。

ポイントは「決めたら例外を設けず全員で守る」ことです。

    ―ルール-

  • いついかなる時でも店の入り口に意識を持っていること
  • 「いらっしゃいませ」をはじめ、すべての挨拶は相手の目を見てすること
  • 挨拶の声は普段よりも高く、やや大きめにすること
  • ポジティブな気持ちで挨拶すること

小学校かよ、なんてバカにしてはいけません。

これが世の中の流れであり、流れに取り残されているのが街の寿司屋です。

繰り返しますが、これはルールですから「がんばってます」なんて通用しません。

「一生懸命やってるから三振したけどもう一回打たせて」ってダメでしょ。

「いついかなるときも入口に意識を持っている」がルールですから、入口に背中を向けての作業はほぼなくなります。忙しくたってヒマだって

「お客様の目を見て少し高く大きめの声で明るく挨拶する」

ことがルールです。

新人の教育にもとても有効です。こうやってみんなで守っていってください。

注意してほしいのはひと頃のファミレスのような画一的な挨拶にしないことです。

「こんにちは!〇〇寿司へようこそ」って気持ち悪いだけです。

そもそも挨拶の重要性を理解していない

そういう環境でずっとやって来た方もいることでしょう。

「お客様との信頼関係を築くのに挨拶など必要ない」

「信頼などされなくても寿司が旨ければ客はくる」

と本気でお考えなら、このブログは全く意味がないものです。

従って④に当てはまり、なおかつ改善の必要性を感じていない方はここでお別れとなりましょう。

そうやって来てしまったけど改善したい、とお考えなら

先述しましたがお金を払ってでも自己改善をするべきです。

これが出来る方は本当の意味で強い方です。

なぜなら今までの自分を否定できる人だからです。

是非がんばっていただきたいしお手伝いできることがあればと思います。

挨拶どころかもう何もかも嫌になった

あ、これはもうブログ読むより一旦店を閉めてリフレッシュしてください。

疲れて心までがボロボロになってしまっています。

無理して店をやっていてもいいことはないです。

一旦休養してよそのお店でも食べ歩いてみるといいと思います。

冗談ぽいけど本当ですよ。

心当たりがある方は連絡ください。

 

いかがでしたか?

人間はポジティブな気に集まる習性をもっています。

「明るくていつもニコニコしてる板前さん」がいるだけで店の魅力は倍増します。

とてもとても当たり前のことですが、出来てなくても誰からも指摘されないのが街の寿司屋です。

いつも心に留め置いてください。